この夏発売するS-50A30mJを皮切りにAdimecはEMVA1288データの提供を順次開始することになった。実際に測定を行って結果を並べてみると考え方や評価軸がまだ一般的ではない点が多く、ユーザーに説明する立場の営業担当者に数値やグラフだけを見せても???で、まるで異世界の言葉を話しているかのような顔をされてしまう。
同じことを何度も説明したり間違いを訂正したりまるで異世界の言葉の森で毎日同じところをぐるぐる回って結局戻ってきてしまうことの繰り返しているようで、データの山を前にこれをユーザーがすんなり理解するのは至難の業であると途方に暮れてしまう。
とはいえそこに表現されていることはカメラの性能(画質と機能)を紛う方なく表現する基準であり、カメラを理解し選択するための良い指標であることは間違いない。
ここはひとつこの異世界言語をマスターしてこのデータの森を利用しなければならないわが同僚のためによき翻訳者となろう。
EMVA1288の規格はEMVAのサイトから最新の3.1aが手に入れられる。
規格は英語で記述されているが、注意深く日本語訳して読んでも、というか読めば読むほど一部の専門家以外にはチンプンカンプンなことには変わりない。
分からないとばかり繰り返していても何も始まらないので、EMVA1288使われる見慣れないグラフを紹介してEMVA1288の森に分け入ってみよう。
NEI
”Sensitivity & saturation 感度および飽和レベル”という項目で使用される”NEI”を取り上げてみよう。
NEIはNoise Equivalent right Intensityの略で、SN比1を得るために必要な各波長での光の強度を1平方マイクロメートル当たりのフォトン数で表現したものを波長ごとにプロットしたもの。
つまりノイズと信号の強度が同じになる光の強度を示している。この強度よりも光が強ければ画像信号が得られる限界を表している。
S-50A30とほかのセンサーを使用したカメラと比べてプロットしているが、このグラフを解説すると、S-50は400nmから900nmの全域にわたって感度が高く、同じ光の強度であってもノイズの少ない画像が得られることを示している。
つまり基本的にグラフのプロットが低い方特性がよいことを示す。
単位はPhotons/um^2と単位面積当たりのフォトンの数を基準としているので、この指標はセンサーのピクセルサイズが大きければより低くなりよい良い値を示す。
同じ対物解像度で比較すると。たとえば1ピクセルあたり5ミクロン平方を観測する場合として評価しなおすとピクセルサイズの小さい方が良好ということもあり得る指標である。
この連載ではEMVA1288で使用される目新しいグラフを解説することにより簡単に規格を理解し簡便にできるお手伝いができればよいと考えている。
Adimec Electronic Imaging K.K. Application and Support Engineer 渡邉雅仁