従来マシンビジョンカメラは、イメージセンサのデータレートがフレームグラバーやPCに合うように設計されています。しかし一般的な画像データレートは間もなく10Gbit/sを超え、これからの数年で30Gbit/sに推移すると思われます。これが示しているのは、CMOSセンサの完全画像収集能力を利用可能にするために高性能インターフェースソリューションが必要とされるということです。
新しいインターフェース標準(CoaXPressなど)は、このようなスピードに対応するために生まれましたが、ハイエンドのフレームグラバーや適合するPCが必要となります。
カメラに内蔵されたバッファード・イメージ・パイプライン・テクノロジーを採用することにより、センサからのデータ流はカメラインターフェースのデータ流から分離されます。主たるメリットは、映像装置で高速画像収集と低データレートインターフェースを組み合わせることが可能な点です。(下図を参照)
図1: イメージバッファが高速でセンサからイメージデータ流を受けながら(Step1&2)、一方でそれよりも低速でカメラインターフェースにイメージデータを出力している(Step1-5)
バッファード・イメージング・パイプライン・アーキテクチャのメリット
低インターフェース費用でスループットの向上
高性能イメージングにより、費用を最適化したシステム設備のための、インターフェース、フレームグラバー、PCなどの要件から開放されます。高速画像収集(1Gpixel/s@10bit/pixel以上)
が低価格・低データレートインターフェース(GigE Visionやカメラリンク・ベースなど)との組み合わせで可能です。
CCDを超えるスピードと解像度で精度を上げる
ショットノイズ抑制イメージング: カメラ内蔵の処理により、高速収集された複数画像を結合することで、画像のS/N性能を向上させます。低フレームレートは、効果的に低い性能のインターフェースにより処理されるという結果になります。下表を参照。
画像の精度を保つ
カメラリンク・フルの代わりにカメラリンク・ベースまたはミディアムで動作させることにより、高速カメラリンク・コンフィギュレーションのビット深度の制約(最大8bit/pixel)の克服が可能になります。
比較表
バッファード・パイプラインCMOS 対 ダイレクト・パイプラインCMOS & CCD
バッファード・パイプライン CMOS | ダイレクト・パイプライン CMOS | ダイレクト・パイプライン CCD | |
6x averaging in camera | 6x averaging in FG | No averaging | |
収集速度 | 180fps | 180fps | 30fps |
リンク速度 | 30fps | 180fps | 30fps |
リンク設備 | CL base FG, 1 cable | CL deca FG, 2 cables | CL base FG, 1 cable |
ビット深度 | 10 – 12 bits | 8 bits | 10 – 12 bits |
リニアダイナミックレンジ | Ca. 67-68dB | Limited by 8 bits quantization. (48dB in DN) | ca. 63dB |
CL-Decaと比較した設備費用削減 | Saving: up to $1500 | – | Saving: up to $1500 |
ビジョンシステム関連アプリケーション
バッファード・イメージング・パイプライン・アーキテクチャ採用カメラは、従来のカメラソリューションに加え、次のメリットや可能性を装置メーカー様に提供します。
- 低い導入費用で高速のビジョン装置を実現
- 既存の(低スピード)インターフェースを再利用することにより装置設計に最小限のインパクトで、最新の高性能CMOSイメージングテクノロジーのメリットを享受
- フレームグラバーやPCの負荷を減らしながら、検査・画像計測アルゴリズムパフォーマンスを最適化
- 異なるセンサテクノロジーを採用した最低でも2台のカメラが必要とされるような場面でも、1台のカメラの使用で、高速と高精度の切替が可能。